海で出会った彼に

「…お前さ、いつもそうなん?」

「…?」

「ごめん。って。」

どういうこと?

「そこはさ、素直にありがとうでいいんじゃねえか?」

ありがとう…?

「相手もごめんよりありがとうの方がうれしいに決まってんだから」

私は、今まで何かしてもらった時ありがとうって言ってた…?ずっとごめんって言っていたのかもしれない。

「ありがとう」

「…あぁ。…くしゅっん!」

「…寒いの?」

「んなわけねぇだろ…くしゅっん!」

「やっぱり寒いんじゃん」

「寒くねー」

私にパーカーを渡しているから、彼は寒いんだろうな…

「…そんな顔するなよ」

「だって…私のせいであなたが風邪ひいたらどうしようって」

「翼だって」

「え?」

「あなたじゃなくて、翼!」

「つ、翼…?」

「よろしい!」

「ふふ…」

「んだよ」

「いや。なんでもないよ!」

「ったく」

ーピロピロピロー

「ぎゃぁ!!」

「わっうるせぇな」

「だ、だってびっくりして…。ちょっと、電話でるね?」

「あぁ」

「はい、もしも…」

『立海ぁ!!!!』

ーピッ!ー

「あ…」

「ぶっ!!」

「なによ」

「別に」

いきなりの怒声に思わず通話をきってしまった。それを見て翼は吹き出した。

ーピロピロピロー

「もしもし…」

「立海ぁぁ??あんた今どこにいるのよ!!」

「お母さん…〇〇町にい…」

「はぁ?!〇〇町?!ここからどんだけかかると思ってんの?!」

「えへへ…ごめんなさい」

「まったく…で、なんでそこにいるの!」

「ちょっと海を見たくて…」

「はぁ…そんなことで…」

「ごめんなさい」
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