1ヶ月の(仮)夫婦


………気が付くと自分は 見知らぬ部屋のベットで眠っていた。
どこだろう……
私は死んではいないのか……

「おや、目が覚めましたか」

声のする方へ顔を向けるとお水と 暖かいお粥をのせたお盆を持った彼がそこにいた。
背が高く、細身の男性だった。端整な顔立ちをした。キレイな優しそうな人だった。

「………あの……わたし」

「…公園のベンチで倒れていたんですよ……覚えてませんか?」

覚えてる
私はこのまま死ぬつもりだったのだ。

この人が助けてくれたのだろうか……

「はい…覚えてます」

「そうですか……」

彼の話しによれば
彼は仕事帰りに"たまたま"公園に立ち寄り、そこでベンチの上で雪が半分積もった私を"偶然"見つけたそうだ。
最初はすぐに救急車を呼ぼうとしたが 彼は"運悪く"携帯電話を仕事場に忘れていた。
雪が降っているし、こんな遅い時間に人の気配もない。
最終的に彼は自分が助けるという選択をした………と的確に優しい声で説明してくれた。

「そうだったんですか」

「ええ」

「あの……どうして助けたんですか 」

「え、」

ちょっと驚いた彼
しかしすぐに真剣な表情で 声で

「目の前に死にかけの人がいて 助けるのは当たり前でしょう」

"人として"
何でそんな事聞くの?
彼の顔がそう言っていた。


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