遠回りして気付いた想い
「何考えてるんですか。大の大人が中学生に混じるんですか?」

呆れ顔の亜耶。

亜耶が言いたいことは、わかる。

だが、俺は心配なんだよ。

亜耶は、可愛いから、変な虫が付くのは俺が困るんだ。

同世代の男に拐われていくのが、怖いんだよ。

変な意地なんか張ってるわけでもない。本当に怖いんだ。

婚約してるとはいえ、亜耶がそれを快く思ってない事ぐらい、重々承知してる。

だからこそ、俺は…。

俺が、あれこれ考えている内に亜耶が、ドンドンと壁を叩きだした(雅斗の部屋に向かって)。

ヤバイ…。

そう思った時には、遅く。その音に気付き直ぐに部屋に訪れる雅斗。

「どうした、亜耶?」

雅斗は、俺を見るなり怪訝な顔をする。

「お兄ちゃん。遥さんが邪魔なんだけど」

と棘のある言い方をされる。

ちょ…邪魔って…言い方があると思うんだが…。

亜耶の不機嫌さも合わさって、お怒りモードに…。

うぉー、これめちゃヤバイんじゃ…。

「遥、いい加減にしろよ。亜耶に迷惑かけてどうするんだよ」

雅斗が、呆れた顔で俺を諭すように言うが、ここで引き下がるわけには行かない。

「だがな、雅斗。亜耶、俺以外の男と会うんだぞ。そんなの黙って見てられるかよ!」

心が狭いと言われようが、俺は構わない。

俺は、焦ってるんだよ。

亜耶が、俺の事を見向きもしないから…。

「ハイハイ。亜耶は、クラスの奴等と勉強会なんだ。邪魔してやるな。俺たちも何回かやっただろ。それと同じだ」

雅斗は、そう言うと俺の首根っこを鷲掴みにして、引っ張り出した。

「ちょ…、雅斗。何…」

俺は、そのまま雅斗の部屋に連行された。
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