遠回りして気付いた想い
「亜耶。出掛けるのか?」

俺は、そんな亜耶に声をかけた。

折角会いに来たのに、直ぐに出掛けてしまうとは…。

連絡しなかった、俺も悪いんだが…。

「そうだよ。友達と図書館で、テスト勉強する約束してるからね」

そう告げたかと思ったら、さっさと部屋を出て行く亜耶。

俺は、慌てて部屋を出て亜耶を追い駆けた。

「友達って、男か?」

これ重要。

「そうだね」

淡々とした答えが返ってきた。

男とだと…。そんなの許せるか!!

「駄目だ!そんな所に行かせられない。勉強なら、俺が見てやる」

俺は、亜耶に手首を掴み、力任せで部屋に戻る。

綺麗な肌に、痣が出来たかも。何て心配しながら、力を緩めなかった。

わかってるんだ、醜い嫉妬だって。

「いい加減にして!!前から約束してたんだから、破るわけには行かないの」

亜耶が、俺の手を振りほどこうとして、腕をブンブン振り回してくる。

「それなら、俺も着いて行く」

それが、俺なりの妥協案だった。



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