遠回りして気付いた想い
遅れる・・・遥side
ヤバイ。
このままじゃ、間に合いそうにない。
俺は、胸の内ポケットに隠してるプライベート用の携帯を取りだし、雅斗に電話することにした。

『どうした、遥?』
数コールで出る雅斗に。
「悪い。仕事が立て込んで、先に行っといてくれ」
そう言葉を返せば。
『そんなに忙しいなら、無理しなくても……』
と言葉が、聞こえてくる。
誰が大切な時間を諦めるか。
ただでさえ、亜耶に会う時間を作るのに四苦八苦してるって言うのに……。こんなの逃すはず無いだろうが。
「そうじゃないんだ。突然お見合いさせられたんだよ。…で、仕事が押しったってだけだ」
俺は、今日の状況をそのまま口にする。
『なんだそれ?仕事の合間に見合いって…。お前んとこの会社どうなってるんだ?』
それ、俺も思った。
まぁ、先方に言われたからだろうけど、さ。
「この事は、亜耶には内緒にしてくれな」
俺がそう言えば。
『わかってる』
心得てるとばかりの返事。
「仕事終わり次第、電話する」
『了解』
「後、沢口に余り亜耶で遊ぶなと言っておけよ」
っても、雅斗には、無理か。
と思ってたら。
『俺では無理だな』
苦笑混じりの言葉が返ってくる。
だろうな。
「なるべく早めに行くから」
俺はそう答えて、電話を切った。
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