遠回りして気付いた想い
「おーい、亜耶。遅いよ」

クラスメイトが声を掛けてきた。

「ごめん、ごめん。出掛けにアクシデントがあって…」

私が答えてると。

「亜耶の後ろに居る人誰?」

姫衣ちゃんが、私を通り越して後ろに目線を向けてる。

後ろを振り返ると。

「やっと、追い付いた」

満面な笑顔で言う遥さんとすまなそうに両手を合わせている、お兄ちゃんの姿が。

はぁー。

私は、胸の内で溜め息を吐いた。

「えっと、お兄ちゃんの友達で…」

「亜耶のフィアンセの高橋遥だ。よろしくな」

私の言葉を遮って、挨拶する遥さん。

その場に居たクラスメイトが、完全に凍りついた。

「遥さん!!」

「遥!!」

私とお兄ちゃんの声が見事に重なった。

何て事を言ってくれるのよ。

皆引いちゃってるじゃない。

遥さんのバカ。

「もう、何て事を言うんですか!私の友達なんだから、そんなこと言わないで下さい!遥さんとは、もう口も聞きたくありません!」

遥さんに向かって言い切った。

だって、こんな事無いよね。

この中に、気になる男の子が居るんだもん。

「皆、今の冗談だから。時間が勿体無いから、早く行こう」

そう皆に声を掛けて、歩き出した。

冗談ではないけど、今はそうしておいた方がいい。

自分の直感がそう言ってるんだ。

「亜耶…」

背後で、弱々しい遥さんの声が聞こえてきたが、振り返りもせず歩みを進めた。

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