遠回りして気付いた想い
「なぁ、さっきの人、かなり年上じゃないか?」

的場くんが聞いてきた。

「うん。私とお兄ちゃん、十離れているからね」

何でもないように答える。

「十って…。立派な大人じゃんか」

「でもさ。カッコよかったね」

女の子達が、うっとりし出す。

うん、そこは私も認めるけど…。

男の子達からが、不満が溢れてくる。

「なぁ、亜耶。本当にアイツは、お前の婚約者なのか?」

悠磨君の何時もより少し低い声で聞いてきた。

何となく、震えてる気がするけど…。

気になるのかな?

私としては、嬉しいけど…。

「そんなんじゃないよ。ああやってからかってくるの」

彼には、本当の事を隠しておきたい。

「そうなんだ」

私の言葉にホッとした顔を見せる悠磨君。

あれ、これってひょっとして…期待しちゃっていいのかな?

あれこれ考えたいが、今は目前のテスト。

気持ちを切り替えねば…。

「ほら、さっさと行って、勉強しようよ。悠磨君に教えて欲しい箇所があるの」

私は、悠磨君の袖を引っ張って顔を覗き込む。

「あぁ、わかったから、袖を引っ張るなよ」

この時、悠磨君が顔を赤らめてるなんて、私は知るよしもなかった。



私は、彼…悠磨君が好き。

頭が良くて、落ち着きがあって、物腰が柔らかくて、何より優しい。

生徒会長や、クラス委員をやってたりする。

誰からも頼りにされる悠磨君。

そんな悠磨君だから、惹かれていったんだ。
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