遠回りして気付いた想い
ある日の事。

クラスの仲間と上手く打ち解けてきた頃。

「ねぇ、渡辺くん。下の名前で呼んでも言い?」

鞠山さんが聞いてきた。

下の名前で?

「急に、どうしたんだ?」

何て聞いては居るけど、内心は嬉しくてたまらない。

彼女から提案してきたんだからな。

「折角、仲間になれたんだもの。何時までも苗字呼びも変化なって思って。渡辺君さえよかったらだけど…」

彼女が、恥ずかしそうに言い出してくれた事が、嬉しかった。

だから、オレは。

「いいよ」

あっさりと承諾した。

「じゃあ、悠磨君。私の事は、"亜耶"って呼び捨てで良いからね」

彼女の屈託の無い笑顔。

その笑顔にやられました。

しかも、呼び方を直ぐに変えてくるとは思わなくて、ちょっとだけ、ドキッて心臓が高鳴り出す。

目茶苦茶、嬉しいんですけど…。

胸の奥が、ホンワカと温かくなる感じがして…。

オレはもうどうにもなら無いぐらい、君の事をもっと知りたいと思い始めた。

「ああ、わかったよ。亜耶」

ヤバイヤバイ。

目茶苦茶、恥ずかしいじゃないか。

彼女の名前を呼んだだけなのに…。

こんなにも焦がれるのかよ。

オレ、どうにかなっちまいそうだよ。
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