遠回りして気付いた想い
オレが、亜耶と出会ったのは、中学に入って直ぐだった。

偶々同じクラスだったってのもあるが、一番は、担任のお陰かもしれない。

入学して一週間経った頃だったか、クラス委員を決める時だった。

「男子は渡辺、女子は鞠山にお願いするが、意見があるヤツは居るか?」

担任の一言で、クラス委員に決まったオレ達。

まぁ、よく知りもしない仲で推薦何てありもしない。もちろん反論だって、出てくるはずもない。

「無いようだな。渡辺、鞠山。前に出てきて挨拶してくれ」

担任に言われて、仕方なく席を立ち前に出る。

オレと同じように指名された女の子(鞠山さん)が、オレと同じように出てきて、オレの横に並んだ。

何コイツ。

物怖じしてないぞ。それにかなり、オレの好みの女の子だ。

意思も強そうだ。

これって、ついてるんじゃないか。

だって、一緒に委員やれるんだ。ラッキーって思うしかないだろ。

先に女の子に挨拶させるわけには、いかないよな。

「渡辺悠磨です。選ばれたからには、頑張ります」

オレがそう挨拶を終えると彼女が、オレの方を見るから、軽く頷いて見せた。

そして…。

「えっと…。鞠山亜耶です。頑張りますので、宜しくお願いします」

そう言ってペコリと頭を下げる鞠山さん。

声まで可愛い…。

その後の歯に噛んだ笑顔が、またオレの目に焼き付いた。

「二人には、クラスの事を纏めてもらうために頑張ってもらうってことで、これから、宜しく頼むな」

担任がオレ達の肩を叩いた。

「「はい」」

そう返事を返して自分の席に戻る。

「渡辺くん。一年間宜しくね」

戻る途中で、鞠山さんが小声でそう言って、笑顔を向けてきた。

「こちらこそ、宜しく」

オレもそう返していた。



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