遠回りして気付いた想い
事の発端は…約八年前の夏休み入る前の事。

当時、私は小学一年生だった。

珍しく、お兄ちゃんが友達を連れてきて、部屋で勉強会なるものをしていた時に私は、お兄ちゃんに遊んで貰いたくて。

「お兄ちゃん!」

ノックもせずに勢いよく部屋のドアを開けた。

そこには、男女混ざって、四・五人の友達が、テーブルに問題集を広げて勉強していた(当たり前の事なんだけど)。

当時の私は、人見知りしてたから、幾つもの目に晒されて、その場から動けなくなってしまった。

「雅斗の妹?可愛いな」

って声が聞こえてきたけど、到底答える事も出来ずに"どうしよう"と戸惑っていた。

「名前、何て言うの?」

そう聞かれても、答えられなくて。

「どうした、亜耶?後で遊んであげるから、向こうに行ってなさい」

そんな私を見かねて、お兄ちゃんが助け船を出してくれた。

私は、その言葉に"コクン"と首を縦に振り、ドアを閉めた。


何時もと違う雰囲気のお兄ちゃん。

友達の前だと、全然違うんだ。

あんな真剣な顔をしたとこ見たことなかった。

新しい一面のお兄ちゃんが見れて、嬉しかった。

その時に、遥さんが居たんだ。

それからだった。

毎日の様に家に来て、私に声をかけるようになったのは。
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