遠回りして気付いた想い
「なぁ、さっきの人。結構、年上なんじゃないか?」

義之が、オレに気を使ってなのかそう亜耶に話しかけていた。

その疑問に。

「私とお兄ちゃん、十離れてるからね」

亜耶は、淡々と答えた。

十って事は、今ニ十五歳か…。

「十って…立派な大人じゃん」

順一が声をあげる。

それを聞いて居た女子が。

「でも、カッコよかったよね」

「そんな年に見えない。大学生かと思った」

「大人の魅力、凄いね」

何て、上がってる。

確かに、二年前に見た時よりも大人びた顔立ちと、落ち着いた雰囲気が女子達に受けたのだろう。

「おじさんじゃんか」

男子からのポツリとした意見。

おじさんって言うが、年を聞かなければ二十歳ぐらいにしか見えないぞ。

あんな人が、亜耶の身近に居るとなれば、不安しか上がってこない。

「なぁ、あの人。本当は、冗談じゃなくて亜耶の婚約者なんだろ?」

俺は、亜耶にそう声をかけた。

亜耶の体が、ビクリと動いたのを見逃さなかった。

あの時のやり取りを見ればわかる。

でも、信じたくなくて、確認するしかなかったんだ。

「そんなんじゃないよ。ああやって、からかってくるの」

苦笑しながら答える亜耶。

でも、笑えてない。

何かを抱えてるような顔を見せる。

それでもオレは。

「そうなんだ」

って答えるしかない。

オレ自身、まだ納得いかなかったが…。

オレの憶測だとしても、あの人が亜耶の事を好きなのは見てわかった。

亜耶は、それに気付いていない…否、気付いてて知らない振りをしてるだけなのかも…。

「ほら、さっさと行って、勉強しよう。悠磨君に教えて欲しい箇所があるの」

亜耶が、話を変えてきた。

これ以上聞いて欲しくないみたいだ。

しかも、オレの袖を引っ張って…。

そういう仕草が、オレのツボなんだが…、わかってやってるのか?

「あぁ、わかったから、袖を引っ張るな」

少し、ぶっきらぼうになってしまったのは、仕方がないと思う。
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