遠回りして気付いた想い
図書館の閉館時間前に俺は外に出た。

鉢合わせにならないようにな。

見つかった時の言い訳、何も浮かばなかったのみあるがな。

外で待ってれば。

「男子は、女子を送っていくんだぞ」

優等生君が言うのが、聞こえてきた。

ほう、そこはわかってるんだな。って、感心していたが、バラバラと数人が固まって散って行く。

そんな中、そいつと亜耶が二人っきりで帰る後ろ姿を少し離れておっていた(ストーカーでは無いからな)。

何か、俺には不味い雰囲気が二人の間に漂っている。

まずい、まずい。

どうやって、邪魔をしてやろう。

アイツが、亜耶に告白しそうだ。

俺は、慌てて。

「亜耶ー。迎えに来たぜ!!」

俺は、あたかも今来たばかりと装い、大きな声でそう言った。

大人気無いと思う。

絶口宣言されても、俺には関係無い。

今は、ただ亜耶を守るが為だけに動いている。

アイツは、俺を睨んできたが、そんなの痛くもない。

まぁ、俺だって告白を邪魔されたら、そいつを睨み付けるだろうな。

「迎えが来たのなら、オレはこれで…」

それだけ言うとそのまま走り出した。

ふー。

亜耶は、まだ放心してる。

奴の想いに半信半疑なんだろう。

俺が、途中で切ったから…。

「亜耶。寒いだろ」

俺は、亜耶を後ろから抱き締めた。

亜耶不足を解消する為と、亜耶の温もりと存在、それと俺自身の不安を打ち消すために、強く抱き締めた。




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