遠回りして気付いた想い
コンビニで、ドリンクとお菓子、デザートなどを購入」

「ねぇ、亜耶。さっきから気になってるんだけど、その紙袋多くない?」

瑠美ちゃんが聞いてきた。

「お兄ちゃんにね」

まぁ、お兄ちゃんにだけでもないけどさ。

「そうなの?」

あれ、何で不振がるのかなぁ。

私は、毎年お兄ちゃんにあげてるんだけど(お小遣いの範囲内で)。

皆は、そうじゃないのかな?

「うん。お兄ちゃんさ、来年の春に結婚しちゃうから、そのお祝いも兼ねて…ね」

本当の事だし、嘘は言ってないから大丈夫だよね。

でも、誤魔化してるように見えるかなぁ…。

う~ん。言い訳ぽかったかな?

「へ~。仲が良いんだね」

って、羨ましそうに言う、姫依ちゃん。

納得してくれたみたいだね。

ホッと胸を撫で下ろした時だった。

「亜耶?何してるんだ?」

その声の持ち主を知ってるから思わず体がビクリと反応する。

声の方に振り返れば、遥さんもこちらを振り返るようにして見ている。

すれ違ったの気付かなかった。

それなのに、遥さんは、私の事に気付いたって、ある意味凄いと思う。

「何って…。これから皆とパーティーに…」

って、ごく自然に答えてた。

あっ、ヤバイ。秘密だったのに…。

私は、慌てて自分の口許を隠す。

遥さんに質問されると、すぐ答えてしまう癖。

遥さんに嘘は通用しないから…。隠せないんだよ。

「パーティー?」

眉間にシワを寄せて、詰め寄ってくる。

これって、もしかしてヤバイかも…。

折角ここまで黙っていたのに…。

下手したら、"変帰れ"って言われるかも…。

私は、不安になりながらも、先手を打つことにした。

「大丈夫。終わったら直ぐに帰るから…」

私は、それだけ告げると止められる前に、皆のところに戻った。

遥さんに言い逃げしちゃった。

今、絶対に怒ってるよね。

どうしよう…。

「亜耶。さっきの人って、この間の人?」

姫依ちゃんが聞いてきた。

「う、うん。そうだよ」

動揺を隠しきれなくて、中途半端な返事しかできない。

「へぇ~。凄い、心配性だね」

瑠美ちゃんが、怪しげに後ろを見てる。

うん、確かにずっとこっちを見ている。視線が痛いもん。

「そ、そうかなぁ…」

心配性?ただの過保護だと思うけど…。


だって、あの人にとって私は、大切な婚約者な訳ですからね。


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