遠回りして気付いた想い
「今まで、刺々しい雰囲気だったのにだ、突然丸くなったと言うか、デレデレしだしたんだよ。それが、当時小学一年だった亜耶ちゃんの性だとわかったのが、その少し後」

小学一年の時?

そんな前から関係が…。

「夏休み前から、良く鞠山家へ足を運ぶようになったのを不振がって誰かが着けてたみたいで、遥さんと亜耶ちゃんが一緒に出てきた所を目撃したんだと。その時の遥さんの顔が、デレデレで普段見せない笑顔で彼女と出掛けるもんだから、割りと早くに噂になったんだよ」

兄貴の言葉に俺は顔を歪ませた。

「それから、遥さんは変わった。近寄りがたかったのが、払拭されて親しみやすくなったって。一部の女子から絶大な人気を誇るようになったのもその頃からだ」

今の、あの人の裏には、そんな事があったんだ。

「今と全然違うじゃん」

ポツリ呟いた俺。

「遥さんに会ったことあるのか?」

オレの言葉を聞いて、兄貴が聞いてきた。

「ああ…。今日も会ったし…」

ボソッと言葉を溢した。
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