未来の君のために、この恋に終止符を。
このまま中に入ってしまおうと思っていると、はたと私に気づいた彼が駆け寄って来る。
先ほどまで話していた女の子の不満げな視線が突き刺さる中、どうしたものかと思っていると、
「気持ち悪い傷で晴樹のこと縛るとか、最低」
通りすがりの誰かが、私を追い抜きざまにそう低く呟いた。
思わず反射的にその背中をまじまじと見てしまう。
彼女は、クラスで1番晴樹と話をしていて、誰よりもはっきりと好意を示している高橋さんだった。
いつも以上に明確な言葉で私を傷つけようとしていて、向けられた言葉よりその事実が辛かった。
私のしていることはフェアじゃないとわかっているから、罪悪感が疼いたんだ。
言い返す言葉を持たない私はそのまま受け流そうとしていたのに、私のそばをすり抜けた晴樹の姿に自然と「え?」という声がもれた。
かすかに見えた横顔は、わかりやすい感情を乗せてはいなかったけど、私にはわかる。
伊達に10年以上、幼馴染やってない。
あれは、今までに見たことがないほど本気で怒っていた。
「晴樹、」
私が呼んだ声も聞こえていない様子で、先を行く彼女に追いついた彼は腕を強く掴んで引きとめる。