未来の君のために、この恋に終止符を。




「そういえば、さっきめぐみとの電話で安藤くんの妹さんの話を聞いたんだけど、知ってる?」

「うん。会ったことあるよ」



頬杖をついて、私が食べる様子をじっと見つめる晴樹に話題を振る。

少しは気をそらしてくれないと食べにくくて仕方がないからという理由なんだけど、私から声をかけたことで彼は身を乗り出す勢いで応えてくれる。



「どんな雰囲気?」

「元気で人懐っこい子だよ。
俺たちともよく話してくれたけど、崇人が大好きらしくて終始甘えていた。
それで、あいつ意外に面倒見がいいんだ」

「ああ、わからなくもない」



安藤くんは口が悪いけど、いつも立川さんの保護者みたいな立ち位置だ。

好き勝手に行動しているようで、どこか理性的。

それに私と晴樹の関係を気にかけたりして、そういうところはめぐみと似ている。



「前に家に遊びに行った時はずっと妹を膝に乗せてた」

「なにそれ」



想像する。

こわい顔立ちの安藤くんの膝の上には可愛らしい女の子。

なにをしても口は悪いけど、そのまま受け入れている。



「……ふっ」



勝手に考えておいて失礼だけど、面白い絵面だ。



「んー……」



思わず小さく笑みをこぼせば、晴樹が唇をわずかに尖らせる。

困ったような、不機嫌なような、感情がいくつも乗せられていて表現しにくい。



「なに」

「崇人の話でそんないい顔されると、悔しいし妬けるなって」

「っ、」



なにをばかなことを。

晴樹が、私のことで妬くなんて信じられない。






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