未来の君のために、この恋に終止符を。

別れるために、変わらない





白のワイドパンツとタンクトップ。

それにグレーの薄いロングカーディガン姿でサンダルを引っかかる。

問題集やノート、筆記具を入れたトートバッグを手に、後ろを振り返った。



「行ってきます」

「うん、行ってらっしゃい」

「片岡によろしく」



わざわざ私を見送ってくれているのは、いつもどおりのお母さん。

そして、現在の晴樹だ。



今日はめぐみと約束していた日。

図書館に行って、ふたりで夏休みの課題をすることになっている。

ついでになにか本を借りてこようかな、と私はひそかに考えているんだ。



いつもなら外出する際は、たいてい晴樹が一緒だから、見送ることは彼にとっては不思議な心境なんだろう。

私と言えば、隣には当然のように未来の晴樹がいるからなんとも言えないけど。



晴樹たちがいる手前、ついて来る気? とさえも訊くことができない。

仕方がないし、もう放置だ。



数日前に彼への恋心を自覚したとはいえ、そこまで私に変化はない。

元々私は、現在の晴樹のことは好きだったんだ。

それに引きずられるようにして、自然と未来の晴樹への態度も少しずつ丸くなっていたように思う。



それに現在の晴樹とも最近はましだけど、わずかに距離がある。

だから未来の晴樹に気持ちを気づかれてしまうほど態度が変わることはない。



変わっていたとして、晴樹が好きだと出会ってすぐに告げているんだし、これといった問題は思いつかないけど。






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