素敵な夜はあなたと・・・

 茜は学校でも携帯電話を弄ってはクリスマスをどう過ごせばいいのか検索していた。本人に直接希望を聞いても肝心の優也は答えてはくれない。それどころか、茜の好きなクリスマスにしようと言うだけ。

 クリスマスが近づいているのに優也はさっぱりその話題には触れない。茜はこれ以上聞くなと言われている様で家へ帰ればクリスマスの話題は禁句になってしまった。


「はぁ・・・・クリスマスなんて嫌い」

「何悩んでんよだ。一人寂しいクリスマスは毎年の事だろう?」

「失礼ね。今年はちゃんと一緒に過ごしてくれる人がいます!」

「強がるな♪ 強がるな♪ どうせ寂しいクリスマス過ごすなら俺が一緒に過ごしてやるって。」


 こんな悪ふざけをするのは茜の同級生の斎藤和樹(さいとう かずき)。これまで何度も茜の携帯電話へ電話をかけて来たあの「斎藤君」だ。

 茜とはクラスの同級生で仲の良い友達の一人。ふざけ合う仲ではあるけれど、ただの友達でそれ以上の関係ではない。茜はそんな斎藤の顔を見ると頬を膨らませては机に伏せてしまった。



「やっぱり、一人なんだろう? 強がっても分かるんだぞ。」

「もうー斎藤君ってば。嫌い」

「俺は茜のこと好きだぞ」

「はいはい」


 いつもお調子者の斎藤は茜を見ては「好き」と言うが、あまり頻繁に言われるとただ単にからかわれているのが分かる。そんなやり取りを続けていると茜も相手にしなくなる。

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