素敵な夜はあなたと・・・

 そして、やってきたクリスマスイブ。

 優也はいつもの様に朝食準備を済ませると茜と一緒に朝食を食べてその後直ぐに会社へと向かう。玄関を出る時に茜が見送りにやって来た。


「いってらっしゃい」

「本当に友達の家へ送らなくてもいいのか?」

「いいの。迎えに来るって言うから来て貰うわ。だから安心して仕事へ出かけて。」

「分かった。俺は今夜は遅くなるから茜も遅くなりそうなら友達の家へ泊っても良いんだよ。」

「うん、じゃあそうするね。」


 いつもの様に笑顔で見送る茜。そんな茜が可愛いのには変わりない優也は茜の頭を軽く撫でると「行ってきます」と一言だけ声を掛けた。

 茜が何時までも玄関で見送っている様子に、優也は心が締め付けられる思いがした。しかし、今日は茜と二人で過ごすわけにはいかないと仕事と偽っての出勤だった。


 マンションを出た優也は「ごめんな」と呟いて空を仰ぎ見ていた。


「ホワイトクリスマスになりそうだ」


 身震いしながら優也は駐車場へと急いだ。そして、バッグから携帯電話を取り出すと電話を掛けた。



「黒木ですが、お願いしていたものは出来ていますか?」

「はい。いつでもお渡し出来ますよ。」

「では、直ぐに行きます。」


 優也は電話を掛けた先の店へと車を走らせた。

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