クールなCEOと社内政略結婚!?
 こんなこと子供じみていると思う。仕事は仕事だから、それを優先しても仕方のないことだし、普段の私ならそんなことなんとも思わないのに。

 しかし雅さんの姿が脳内にちらつくと、ドロドロとした醜い感情が湧き出てくる。これは紛れも無く嫉妬心だ。過去であれ一度でも孝文と心を通わせた雅さんへの醜い嫉妬だ。

 私なんて籍が入って夫婦になっているのに、彼のことがまったくわからないのに……。

 なにを置いても私を選んで欲しい。こんな気持になるなんて……私、孝文のこと……。

 時間はどんどん過ぎていく。待ち合わせの時間は過ぎたけれど孝文の姿はなかった。

 しかたがないのかもしれない。あんな子供じみたワガママを言うなんて呆れられても仕方がない。彼がどれほど仕事を大切にしているか分かっていたはずなのに、どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。

 変な形で始まった夫婦生活だったけれど、孝文は私を彼なりに尊重してくれていたと思う。さっきの一言でうまくいっていた私たちの関係が壊れてしまったかと思うと、目頭が熱くなった。
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