クールなCEOと社内政略結婚!?
「ここか……」
引っ越し業者の人に、場所を聞いて(そもそも自分の引っ越し先を知らない時点でおかしい)タクシーで乗りつけた。
目の前の高層マンションを仁王立ちで睨みつける。これから、ヤツの住む悪の巣窟に乗り込むのだ。気合を入れて一歩踏み出した。
深く息を吐き出してから、インターフォンを押した。無機質なパネルでさえ憎く思えて、じっと睨みつけているとあまり間を置かずに『はい』という声が聞こえた。
「宗次です」
『……どちら様ですか?』
〝どちら様〟だと? 私は怒りに任せて、インターフォンに向かって声を上げた。
「あなたが、無理やり引っ越しの手配をした宗次あさ美ですっ」
『あぁ。〝浮田あさ美〟さんね?』
くくっ……とバカにした笑いが聞こえ、私の怒りの炎に油を注ぐ。
『自分の名前くらい、ちゃんと言えるようにしておけよ』
「ちょっと――」
ブツっとインターフォンが切れて、代わりにロックが解除される音が聞こえた。
「なっ、私まだしゃべってたのにっ!」
どうやったら、こんなに私を怒らせることばっかりできるんだろうか? 綺麗に磨かれた大理石のエントランスをドンドン歩いて行く。カウンターを通り過ぎるときに、綺麗なコンシェルジュの女性が、会釈をしてくれた。無視するわけにもいかず、私も軽く頭を下げる。おかげでそれまで沸騰寸前だった頭が、若干冷やされた。
社長相手に感情に任せて怒ったところで、きっと焼け石に水。糠に釘。暖簾に腕押し。とにかく無駄だ。
引っ越し業者の人に、場所を聞いて(そもそも自分の引っ越し先を知らない時点でおかしい)タクシーで乗りつけた。
目の前の高層マンションを仁王立ちで睨みつける。これから、ヤツの住む悪の巣窟に乗り込むのだ。気合を入れて一歩踏み出した。
深く息を吐き出してから、インターフォンを押した。無機質なパネルでさえ憎く思えて、じっと睨みつけているとあまり間を置かずに『はい』という声が聞こえた。
「宗次です」
『……どちら様ですか?』
〝どちら様〟だと? 私は怒りに任せて、インターフォンに向かって声を上げた。
「あなたが、無理やり引っ越しの手配をした宗次あさ美ですっ」
『あぁ。〝浮田あさ美〟さんね?』
くくっ……とバカにした笑いが聞こえ、私の怒りの炎に油を注ぐ。
『自分の名前くらい、ちゃんと言えるようにしておけよ』
「ちょっと――」
ブツっとインターフォンが切れて、代わりにロックが解除される音が聞こえた。
「なっ、私まだしゃべってたのにっ!」
どうやったら、こんなに私を怒らせることばっかりできるんだろうか? 綺麗に磨かれた大理石のエントランスをドンドン歩いて行く。カウンターを通り過ぎるときに、綺麗なコンシェルジュの女性が、会釈をしてくれた。無視するわけにもいかず、私も軽く頭を下げる。おかげでそれまで沸騰寸前だった頭が、若干冷やされた。
社長相手に感情に任せて怒ったところで、きっと焼け石に水。糠に釘。暖簾に腕押し。とにかく無駄だ。