クールなCEOと社内政略結婚!?
　フロアに到着すると、まだ部長と数名の社員しか出社していなかった。

「おはようございます」と声をかけると、ちらほらと返事がある。顔を上げた部長が驚いた顔をした。

「宗次、今日はどうした。ずいぶん早いな」

「そんな、いつもギリギリみたいに言わないでください。最近は出社するの前よりも早くなったんですよ」

「悪い悪い。あ、そうか。今日から佐々木さんが復帰だからか」

「正解ですっ！」

　私が佐々木雅さんのファンだということはデザイン部のみんな誰でもが知ってることだ。だからこそのこの浮かれ具合を見ても誰も不思議には思わないだろう。

「実は、昨日なかなか眠れなくて」

「そうか、まぁとりあえず、仕事しろ」

「はいっ！」

　ごもっともだ。せっかく早く来たのだから、溜まっている経費の精算をやってしまおう。あんまり溜めると梨花ちゃんに怒られてしまう。私は仁王立ちの梨花ちゃんを想像して、早速、伝票を整理して表計算ソフトに入力を始めた。

　そのまま始業時間を迎え、いつも通りの慌ただしい時間を過ごした。電話を首にはさんで山積みの資料の中から資料を探す。

「あのサンプルちょっと思っていたのと違うんですよね。一年ちょっとまえくらいによく使ってた生地で、えーっと……」

　ドサドサーと積まれちた資料が崩れ落ちた。あぁ……やってしまった。しかしそのおかげでうもれていた資料が発見でき、私は電話を終わらせてから、床に散らばった資料を梨花ちゃんに手伝ってもらいながらかき集めた。
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