Be!渋谷店の事件簿
なんで。
なんで、あの時……どの時を言おうとしてるんだろう。

まさか約束を守らなかった時?

理由を聞かれても、恋愛対象として見てた。…なんて言える訳ない。
だって私たちは戦友なんだから。

五十嵐がまっすぐに見てくるから、思わず視線を反らしてしまった。

「……はぁ。早く帰れよ」

何も聞かれなくてホッとした。

「帰ろうとしてたんじゃん。それを五十嵐が絡んでくるから」
「俺のせいじゃねーし。もう9時過ぎてっからな。そろそろ出る時間だぞ」
「出る?」
「そう。オバケ」

だから!
なんで五十嵐は私をからかう時は凄く幸せそうに笑うんだろう。
普段は笑顔の一つも私に向けないくせに。
からかう時だけ嬉しそうで、ムカツク!
ムカつくけど、憎めない。

でも、この笑顔を蓮見チーフにも見せてるんだろうか……

「蓮見チーフに言っちゃうよ。マリンお嬢様と出かけてたって」
「何言ってんだよ。仕事だろ」
「ふーん。こんな時間まで?」
「さっきは池袋店に行ってただけ。一人でな」
「じゃ、やましいことはないんだね」

自分で言ってて胸が痛んでくる。
私、馬鹿だ。

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