浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
別れの決意
駅まで送ってくれるという木嶋さんの申し出を断り、駅までの道のりを徒歩で歩くとすぐだった。

そこから新幹線で帰路につく。

朝は勢いとはいえ決意をもって乗り込んだ新幹線。
今はすっかり迷子になった心境の私を乗せて真っ直ぐ進む。

今日は日曜。優は連絡くれるんだろうか。
確か今日は打ち合わせがあると言っていた。
真理子さんを含めた会社の人と。

「はぁ……」

木島さんの彼女の事もあり、純粋に自分の心配だけ出来ないし。
モヤモヤする。

明日から仕事が待ってるだけでも、救われる気がする。

「仕事に生きるか」

大して出来もしない仕事に打ち込むなんて、この先ずっと出来るのだろうか。
多分社長は雇ってくれるだろうけど。

そんな事をボンヤリ考えていると、握っていた携帯が振動と共に鳴り響いた。

マナーモードにし忘れたのに気付いて、慌ててタップする。

「は、はいっ」
出来るだけ小さな声で。
『あ、透子?』

右耳から聞こえたのは沈んだ私の気持ちを他所に、あまりにも軽やかな優の声だった。

「あ、あの!いま電車の中なの!後で掛けなおすね。」
そう言うと通話終了ボタンを押した。
< 69 / 130 >

この作品をシェア

pagetop