浮気男に絡めとられたら(続・恋愛格差)
大切なこと

私と優はリビングに上がりこみ、ソファに座った。

「まぁ、酒もアルコール度数の低いの3本だったら病院に行くほどでもないかもな。妊娠がわかってから禁酒したから酔いが回ったんだろう。しばらく気持ちも張り詰めてたし。」
「何にも影響無いといいけど。」

木嶋さんは万里子さんに水を飲ませるのに苦労してたけど、優しく話し掛け肩を抱きながら飲ませると、万里子さんは飼い慣らされた猫のように飲んで、また眠ってしまったようだ。
そして、木嶋さんは私達のいるリビングに戻ってきて座った。

「…………悪かったな」
「いいえ、落ち着いて良かったです。」

疲れきった表情の木嶋さんに向かって、優はソファに座り直して偉そうに手を組んだ。
「木嶋さん。木嶋さんの家であったこと、透子から聞きました。出会いも。なんであんなにやけになってプログラム組んでたんです?見知らぬ人間に助けを求めることありました?締め切りがあったわけでもないのに、万里子さんとの仲が拗れるほど。」

木嶋さんは優の目を見ず、ため息をついた。

「別にやけになんかなってない。ただ成果を早く挙げたかっただけ。」
「木嶋さんはそれでなくても凄腕なのに。万里子さんはずっと不安がってました。」
「…………俺は仕事では万里子に頼りきっていたんだよ。俺を応援してくれていたしな。だからそれ以上に期待に応えたかった。どんなジャンルだってやる必要があった。他の誰かに俺の役目を取られる訳にはいかなかったから。」
「…………」
「早く……早くしないと……。またどこかから優秀なやつを探してきて万里子の近くに居座るかもしれない。」

眉を潜めた木嶋さんは、苦しそうに声を出し、優をチラッと横目で見た。

「吉岡……。なんでお前は、そんなにアイツの信頼を得てる?」
「…………木嶋さん……」

まさか拗れた原因が優にあったとは。優も思いがけない状況に混乱していた。

「なんで隣に住んで、昼も夜中も仕事で会って……。俺はただプログラム組むしかできない!」

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