空から雨が降る日。【完】
*~Ⅳ~*



あの日…吾彦さんに話を聞いて貰ってからもう一週間が経っていた。

その間も仕事で会うたびに、いつも―…


『雫』

『…なんですか』

『この前さ食ったパンがうまくてさ―』

『また、パンの話ですか』

この人はいつもパンしか食べていないんじゃないか、と思うくらい会うたびにパンの話をしてくる。…そう、仕事に全く関係のない話。

そのせいで上司や会議に参加している人たちには『付き合っているの?』と勘違いをされ…

『あの、いつになったらその“雫”て呼ぶのやめて貰えます?』

『え、なんでダメなの?』

会議が終わってお昼を何度も一緒に食べにも行った。

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