空から雨が降る日。【完】
『空雨』
病室をあけるといつものようにプリンを頬張っている。
『またプリン?この後ご飯でしょ』
『だってうめえもん』
『そりゃあわかるけどさ』
はい、と追加のプリンを渡すと嬉しそうに笑う。
空雨は最近、カーテンをあけない。
きっとそれは外をみたら出たくなるから。
私も周りのみんなも、それに口出しは、しなかった。
今回の入院はいつもより長くて、まだ退院の目安さえ決まっていなかった。
いつかな。なんて聞ける雰囲気でもなくて。
ただ笑っていてほしい。
だから私は空雨に、必死にたくさんの笑い話を話した。