未来からのメッセージ
第一章


―キーンコーンカーンコーン……

長い長い一日がやっと終わり、私は大きくため息をついた。

望月 心愛(もちづき ここあ)高二。


ずっとショートカットを保ち続けている髪が、春の暖かい風に触れる。


私は部活もなにもやっていないから、このまま直で家に帰るだけだ。


「やっと解放される……」


ボソッと呟いた言葉。

誰かに聞こえてないかな?と思って辺りを見たけど、みんなはもう部活に行ってしまったのか教室には私しかいなかった。


私が解放されると言ったのは、学校からじゃない。

人間からだ。


私にとって、人間ほど嫌いなものはない。

……って言っても過言ではないほど、人間が嫌いなんだ。

でも、その理由はまだ話せない。


すぐ家に帰る予定だったけど、もう少しここにいようか。

私一人残った教室には、窓からオレンジ色の光が差し込んでくるだけ。


勉強するにはよく集中できそう……。


グラウンドからは部活中のみんなの声が聞こえてきて、ちょうどいい雑音になっている。


決してガリ勉っていうわけじゃないけど、家ではあんまり集中できないんだよね。

私は、数学の教科書を机の上に広げて勉強を始めた。


それから30分ほど経った頃だろうか。

突然、グラウンドの方が騒がしくなった。


何かあったのかと窓の外を見ようとした――……瞬間、視界一杯にサッカーボールが広がった。


「えっ……」






――パリィィィィンッ!!!






……何?


「いった……!」

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