コクリバ 【完】
もしクラスマッチにMVPがあるなら、間違いなく市原先輩に送られただろうけど、私はそれを見て笑っている高木先輩ばかりを見ていた。

高木先輩が、ふとこっちを見上げた。

胸がドキンとなる。

そして、左頬で笑って、左手を挙げてくれた。

嬉しくて泣きそう。

その笑顔に答えようと、笑顔で両手を挙げようとしたら、

「キャー!」
「あおいー」
すぐ左隣りから異質な叫び声が聞こえた。

左を向くと3年生っぽい女子集団がいて、一人の女の人が囲まれている。
全員が嬉しそうな顔をして

真ん中の女の人は口元を両手で隠して、嬉しそうに一歩後ろに下がって、女子集団の中に紛れ込む。
よく見ると、うっすらと眼が潤んでいる。

何かが私の中でざわざわと動き出した。
おそらく、これを女の勘と呼ぶのだろう。

「あおい」と呼ばれたその人を、周りの集団が祝福してるようだった。
高木先輩が手を挙げたから……

じっと見ていたら、その人と目が合った。

「もうやめてよ。みんな見てるよー」

周りの女子たちにそう言うその人は、白い肌に蒸気したピンクの頬が可愛らしかった。
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