コクリバ 【完】
夏休みに入ってすぐの日、私たちは絢香の家にいた。

ともちゃんも一緒に、3人で100均ショップに寄って買い物もして、
誰が言い出したか忘れたけど、メイクの練習をしようということになった。

恋する乙女の考えることはみんな一緒で、少しでも綺麗に見られたいのだ。

塗ったり、落としたり、初めてのつけまつげに大笑いしたり、とにかく楽しかった。

みんなが納得したところで、一旦休憩になったけど、二人は吹きだしそうなくらいケバイ顔。
…ということは、私もケバイ顔なのかもしれない。

メイク道具の代わりに、お菓子とジュースをテーブルに並べて、ともちゃんと私はすぐにジュースに飛びついた。
けど絢香はなぜかもじもじしているから、
「トイレ?」
って、聞いてみた。

肩を突かれた。

「違うよ。私さ、奈々に謝らなきゃいけないことがあるの」
すまなさそうに下を向いているけど、絢香は笑っている。

どうせくだらないことだろう、
「なに?」
一応、聞いてあげた。

「オサムッチがさ……」
話始めた絢香の横で、ともちゃんとアイコンタクトで頷き合う。

(どうせそんなことだろうと思ったよ)
(そうね。たぶんたいしたことないよ)

「4人でどっか行こうって言うからさ。
いいよ。って言っちゃったの」

絢香は照れ笑いしている。

「4人って、だれ?」
「オサムッチと、私と、奈々と……吉岡」
「はぁ?」

なんでそうなる。
絢香はもうその時のことを想像してるのか、えへへなんて笑っている。

「いいよ。って、言ったの?」
「ごめん!どうしても行きたくてさ。
奈々、吉岡のこと、もうなんとも想ってないんでしょ?」
「想ってるとか、そんな問題じゃなくて」
「お願い!ちょっとだけでいいから付き合ってよ」

絢香は私を拝んでいる。
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