転職したら双子のイケメンがついてきた
気が付くと、病院のベッドで寝ていた。入り口近くのベッドだった。
「……真言さん……??」
思い出して、
ガバッ!!と飛び起きる。
「いてて……」
なんだかあちこち痛い。
「あっ、大丈夫ですか!?もう少し横になっていた方が…」
病室に戻ってきた男性が。
「あっ、あなたは、えっと……」
知っている顔だった。
「弥刀(ミト)と申します。ご迷惑お掛けしまして、申し訳ない」
そうだ。いつもお仏壇のお花を買いに来てくださる常連のお客様だった。
小さなお子さまを連れてくる。
なぜか私を気に入ってくれているようで、いるときに来られている気がする。
色白だけれど、顔立ちのすっきり整った、銀縁眼鏡のよく似合う、品のある男性だ。
穏やかで優しそうな雰囲気で、世間話で聞いた感じではどこかの会社の課長さんをしているらしい。
「真来さんは軽い打撲だそうで、検査入院だけで済みそうです」
「真言さんは??」
「……意識がまだ戻らなくて、大きな怪我はなさそうなんですが」
「……ああ…」
怪我はないのか。
けれど、意識が戻らないのは気掛かりだ。