転職したら双子のイケメンがついてきた


「こんにちは」


後ろに着いてきたのは、キクさんだった。


「えっ!?えっ!?」


「うちのお婆ちゃんがいつもお世話になります」


にっこりと微笑んで、ぺこりとお辞儀した。


天使にお辞儀された。
眩しい。


「いつだったか、骨折して入院したって言ってたろ。随分良くなって、学校休んでるときに居合わせて手伝ってもらったんだ」


「ああ…」


それにしても。


「『よろず屋』さんて、お花屋さん以外にも、なんでもしてくれるんでしょう??」


「…まあ、ことにもよるがな」


この女子高生から、この言葉を聞くとは。
と、壬言さんも面食らったようだ。


「ほらあ。友達の間でも話してるんだから。『よろず屋』さんって」


「そんな我が儘言うもんじゃありません。そんなことされてるわけないでしょう??」


キクさんが口を挟む。
けれど聞く耳を持たない。


「お願いがあるんですけど、聞いてもらえませんか??あっ、わたし、望絵っていいます。出口望絵(デグチ モエ)」


どっかで聞いたような名前だな。しかも名前も可愛い。
ますます劣等感が。


「彼氏の振りしてほしいんです。従姉妹のお姉ちゃんが結婚詐欺に遭っちゃって」



< 307 / 383 >

この作品をシェア

pagetop