ここで息をする






「今日はまず全員、出席番号順に泳いでもらいます。泳ぎ方は自由。タイムは計らないけど、みんながどれくらい泳げるか知りたいからちゃんと自分が泳げるところまで泳ぐように。でも100メートルを最長距離にするから、それ以上泳げる人もそこで終わってくれ」


1年3組の担任の三浦先生は体育を担当していて、男女に別れて行う授業では女子の方を受け持っている。今日の体育の授業から内容がプールに変わり、水泳部の顧問をしている彼からすれば得意分野だ。

いつもよりさらに瞳に熱がこもっているのを感じて、プールサイドに整列して先生の説明を聞く最中、だいぶうんざりしていた。


プールの授業なんて中止になればいい、と。梅雨の真っ最中なんだから、雨が降って気温が下がってくれたらいいのに、と。今この瞬間に至るまで、何度願ったことだろう。

でも結果は、見事に完敗。

私の頭上には、憎たらしいほどに鮮やかな青空が広がっている。おまけに気温も昨日より高いらしく、どう考えてもプール日和だ。

水着から出ている素肌を射す日差しが暑かった。おまけにコンクリート製のプールサイドに座って話を聞いているのものだから、照り返しと熱せられたそこに直に触れている箇所がつらい。


「じゃあさっそく、1から3レーンを使って泳いでもらおうか。最初の三人は準備して、他は待機しててくれ」


三浦先生の説明が終わり、ようやく上からの日光と下からの熱から逃げることが出来た。待機組みのみんなはこぞってプール脇の屋根の下へと避難する。

出席番号が女子の中で三番目までに当たる三人は、先生の指示に従ってプールに入った。飛び込みはないらしい。

各自レーンに入った三人は水の冷たさにきゃっきゃっと気持ちよさそうに声を上げている。3レーンには季里が入っていて、水浴びをする子供のように無邪気な顔で楽しんでいた。


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