Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**杏



貴晃さんは、海の近くの
水族館に連れて来てくれた。

水族館で、魚をみたり
クラゲをみたりした。

水族館を出るとき
貴晃さんから、イルカのぬいぐるみを
買ってもらった。

「もう、子供扱いして」
っと、文句を言ったが
欲しそうな顔をしていたから
と、逆に返された。
まぁ、本当に欲しいな
と、思っていたが・・・

それから、少し遅い食事をして
海辺に行った。
貴晃さんは、私の手を握り
ゆっくり歩いてくれた。

「杏ちゃん、少しは元気に
なれたみたいだね。」
「はい、貴晃さんのおかげです。
ありがとうございます。」
「いや、僕のお節介に
   終わらずに良かった。」
「クスっ、貴晃さん、
    優しいですね。」
と、言うと
「杏ちゃん、限定でね。」
と、言うから
「もう、また茶化す。」
「嫌だな、茶化してないよ。
僕は、杏ちゃんじゃなければ
こんなことしないよ。
杏ちゃん、こんなときに
言うのは、弱味につけ込んでる
みたいで嫌なんだけど

あの日、親父とお袋に頼んで
杏ちゃんに会いに行ったんだ。

杏ちゃんは、忘れているかもだけど
僕らは、小さい頃は一緒に遊んだり
していたんだ。
だから、はじめまして、
じゃなかったんだ。
でも、杏ちゃん覚えてなさそう
だったから。

それからも、定期的に
両親から、杏ちゃんの報告を
受けていた。

ずっと、僕の中には、
杏ちゃんしかいないんだ。
だから、僕のお嫁さんに
なって欲しい。駄目かな?」
と、言った。


私は、その話にびっくりしていた。

小さい頃、遊んだ?
ずっと、私を想ってきた?
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