Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**限界


貴晃さんには、前々から
海外の大学からのオファーが
来ていて保留にしていたらしい。

「本当に貴晃君は、
あなたが小さいときから、
杏一筋だったの。
どうしても、会わせてほしいと
貴晃君から頼まれて

芦田家と話して
杏が、貴晃君に好意をもてば
話しを詰めて行く。
駄目なら諦める事にしたの。

そしたら、干菜が
貴晃君を気に入ってしまい。
初めから干菜には、事情を話して
置けば良かった。

私もお父さんも
干菜は、しっかりものだし
理解してくれていると
勝手に思っていたわ。
あんなに傷ついているなんて・・・

あっ、続きね。
貴晃君は、やはり杏の気持ちは、
自分には、ないとわかったから
海外に行く事を決めた。
と、さっき陵から連絡があったの。

それを、干菜が聞いていてね。」
と、言った。

わたし‥‥
全て‥‥私が‥‥原因?‥

お姉ちゃんも
貴晃さんも
‥‥そして‥‥優愛も‥‥

私のせいで、傷ついて‥‥
私は‥‥どうしたら‥‥いいの?‥
いったい‥‥どうしたら‥‥

お母さんの話を聞いて
一人で考えたいと
部屋に行くが·······

杏の頭の中を·····

母の説明
姉の言葉
涙目の優愛
姉を叩いた父の顔が
ぐるぐると回りつづけて
眠ることは出来なかった。

翌日も姉は帰らず
両親は心配していた。

杏は、仕事ではミスをしないように
だが、自分を責め続け
眠れない日々が続いていた。

その週の週末に
姉は、帰ってきて
自分の荷物を持つと
家族の誰とも会話せずに
出て行ってしまった。

その事は、杏の中の
何かを壊してしまった。

杏は、その夜
家をでて、電車に揺られ
来たこともない駅で降りた。

杏の精神状態は、ピークに達していた。
何日も眠れていない。
仕事でミスをしては
いけないと緊張感。

全てが、自分のせいである。
と、苦しんで身体は悲鳴をあげていた。
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