Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**いなければ


「たっ‥‥‥‥‥‥」

「どうして!!どうして?杏なの?
いつも、いつも、杏!杏!
お父さんもお母さんも!
私だって、お父さんとお母さんの
娘よ!違うの?
杏が、足が悪いから?
あの子のあの足では、貴晃さんの
妻は、務まらないわ。
私なら、きちんとできるのに
なぜ、貴晃さんは、
杏と一緒になれないから
海外に行くの?
杏なんか、杏なんか
いなければ、良かったのに!!」

バァーン!

「あなた!」
「お父さんなんか、大っ嫌い
お母さんも。」
「干菜!!」

バーン。

と、ドアがあいて
ただいまの言葉も言えずに
ぼぉーぜんと壁に寄りかかった
状態の私を・・・

姉は、見て
ハッとした顔をしたが
玄関からでていった。

お母さんは、
姉を追いかけてでてきて、
私を見るとびっくりした、
顔をした。

リビングに入ると
父は、自分の手を見つめていた。

子供に手をあげたことなど
一度もない父・・・
自分を責めているのだろう‥‥‥‥

私は・・・
‥‥姉の気持ちを
     初めて聞いた。

私は、怪我をした
自分ばかりが、可哀想で
健康な姉は、幸せだと
勝手に思っていた。

でも、入院している間も退院してからも
ずっと、お母さんもお父さんも
私についていた。
姉は、ずっとひとりぼっちだったんだ。

私が、お姉ちゃんを追い込んだの
どうしたら、いいの?

姉を追っていた
お母さんが入ってきて
私は、
「お姉ちゃんは?」
と、言うと
父は、私にやっと気づいて
はぁっと、した顔をした。

お母さんは、何があったのか
全てを話してくれた。
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