Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

僕に下さい


病室は、温かな雰囲気になり
杏は、焦らずに
記憶を取り戻す事にした。

目の状態も落ち着いたから
明後日に杏は退院する。

足のリハビリには、通う事なる。

その日、貴晃は面会時間が
終わるまで、杏から離れなかった。

杏のリハビリにも付いていき
杏の足を見て
静かに涙を流していた。
「貴晃、泣き虫?」
「‥‥‥かもね。‥‥‥」

杏は、リハビリの痛みに耐え
頑張っていた。

貴晃は、一週間の休みを貰い
帰国していた。

貴晃は、毎日病院に通い
退院の時も、車イスを用意していたが

貴晃は、聞かずに
杏を抱き抱えて歩くから
杏は、真っ赤に。

看護師さんからも
「杏ちゃん、
かなり溺愛されてるね?」
と、冷やかされていた。

車イスになれないと‥‥
腕の力が、つかないから‥‥
車イス、うまくなったんだよ‥‥

色々、言うが
頑として貴晃は聞かない。

杏、圭吾、尚子、信吾、陵も、
もう貴晃の好きなようにさせておいた。

貴晃は、
圭吾と尚子、杏と自分の両親に

「杏の事を一度は、諦めようとしました。
杏に、僕への気持ちがないなら
杏自身を傷つけると思い
前々から、言われていた
イギリスへの話しに
一からやり直すつもりで。

でも、寝ても覚めても
考えるのは、杏の事ばかり
杏は、何をしてるかな?
泣いてないかな?
楽しんでいるかな?
そんなときに、母さんから
連絡を貰いました。

正直、杏に会えば
気持ちが止められなくなると
わかっていましたが
泣いている、杏ばかりが
頭によぎり、休暇を無理矢理
取って帰国しました。

もう、杏と離れるのは嫌です。
たとえ今、杏に僕への気持ちが
なくても、きっと好きになって
もらうようにします。

ですから、僕に‥‥僕に‥‥杏さんを
下さい。
必ず、幸せします。

お願いします。」

と、言って土下座をした。
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