家族の絆
「そろそろ受験のために塾に行かせようと思うの」
「受験って?」
「絵梨と同じ桐蔭学園ですよ!」
「純一は行きたいって?」
絵美は、それには応えないで、続けた。
「今のサッカークラブの練習で土、日はつぶれてしまうし、放課後は小学校の部活で時間がなくて、塾どころじゃないのよ!」
「純一はなんと?」
「塾に行くために、クラブを止めて欲しいと思うの」
「純一の気持ちが第一では・・・」
純一はどうしたいのか全く知らなかったが、ともかく本人の意向が第一だと思った。
「あなた、何をいっているの。純一の将来のことを考えると、桐蔭学園に入って勉強を頑張ってもらうのが、一番いいことじゃないですか。桐蔭学園は中高一貫教育だからいいってあなたも言っていたでしょう!」
「・・・」
それには答えなかった。中高一貫教育の良さを認めはするもののそうだからといって、本人が望むならともかく、今から受験体制になることはないように思った。
「絵梨だってそれでいい成績がとれていて、大学に行く準備が今からできているんでしょう!」
確かに、絵梨は友達の影響かもしれないが、自分から受験を望んだことだし、結果として成績がいいかもしれないが、毎週塾通いで大変だと思うが、本人はどうなんだろうか?
「わかったよ。純一に話してみるよ!」
本人の意向がやはり第一優先だと思った。純一のこれから先の進路に関して、父親として考えてやるのは当然だが、まだ早すぎるようにも思った。絵美が考えていることに対してとやかくいうことはないが、絵美自身がそのことで落ち着きがなくなっているように思えてならなかった。
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