家族の絆
 25日の研究会は、半分ハリウッドの出張報告のような形になってしまった。しかし、この出張の結果をまとめれば、大きな成果になり、次のステップの方向付けにも大いに役立つはずである。
 会議は無事6時過ぎに終了し、例によってみんなと軽く食事をした。その合間に、中島さんに声を掛けてみた。
「中島さん、この後、例のところにどうでしょう?」
「是非行きましょう。こちらも同じことを思っていました」
 クラブ〔水蘭〕には9時半頃に着いたが、お客さんはいなかった。景気の悪さは、こういったお店から影響が出てくるのかなあと、ママと話していると、またしても3組の客が立て続けに入ってきた。ママは目を丸くして、営業スマイルで、皆さんに元気いっぱい対応していた。この日は中島さんが主役だった。カラオケを何曲か立て続けに歌って、席を暖める暇がないほどだった。そのために、祐一にとってユキに明日の場所を伝えるのに都合が良かった。中島さんはお酒も普段よりピッチが早かった。傍の目にもそれがなんとなくわかるような感じだった。その日も11時を過ぎるとユキは急き立たせて、中島さんは名残惜しそうにしていたが、一緒に帰ることにした。帰り際にも、新しく客がみえて、大盛況だった。
 中島さんは帰りの電車の中でも祐一に何かいいたげだったが、改めて時間を作ることにして、その日は表参道で別れた。
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