家族の絆
 出張の報告書をまとめたり、再度、新たに試作するレーザーに関しての要求仕様書をまとめたり、試作グループと調整を行ったりしていた。そうこうしているうちに、4月もあっという間に半ばを過ぎてしまった。

 4月のデジタル放送研究会の当日、新しく入れ替わって参加したメンバーの紹介の後、7月の活動報告書の草案に関しての進捗報告を行ない、順調に予定通り進んでいることを確認した。
 会議後、歓迎会も兼ねて、いつものように近くの居酒屋に集まった。このあとユキの店に行こうと決めていた。しかし、一人で、銀座の店に行く気にはならなかったので、委員会の中で一番気心の知れている富士通の中島さんに声を掛けてみることにした。『行くことには問題ないが先立つものが心配です』という返事が返ってきた。それは祐一としても同様に心配だった。本当のところは、突然行って驚かせてやろうかと思っていたが、行く前にどのくらい必要なのかユキに確認の電話を入れることにした。山崎と名乗ってもわからないかもしれないと思っていたが、電話口に出てきたユキは『当然、知っているよ。待っていたよ!』という返事と、初めて会った時とは違って明るい声が伝わってきた。ぎりぎり何とかなりそうな金額を伝えられた。
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