家族の絆
「我が社で開発しているものがあれば、それを良くするためにフィードバックをかけることも事業部に対しての研究所の立場ではないかと思っています」
祐一としては全社的に見て日頃から思っていることを単刀直入に伝えた。
「それは、そうかもしれないが、もっと大きな視点で見たときのレベルの問題だと思うんだよ。いいかい、既に、他社から手に入るものを自社の技術力をつけさせるために指をくわえて待っているべきか、トップレベルのものを使って、自社の技術力を更に、もう一歩進めるために発破をかけるべきかどうかではないだろうか?前者だと自社の技術力が他社に追いついたときには、既に他社はもう一歩先んじているのではないだろうか!」
 岩城研究所長の言い分のほうに分があると思った。今まで、会社のためにと思っていたことが、どうもそうではなかったのか、もっと根本に戻ってみなくてはだめではないかと、意識を新たにした。
 研究所長との話し合いは7時前には終わったが、まだ課員は全員残っていた。そこで、祐一は、席に戻ってくるなり課員を全員集合させて、新しく沸き起こった別の視点からの話を簡単にした。そして、新たな展開を開いていこうと自らの意識を明確にしながら、これからの開発方針を再検討することにした。
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