君の瞳に映る世界


「僕は、里沙が好き」




「っ!

 そ、それ、さっきも聞いたよ?

 私も……」




「違うんだ」




ギュッと私を抱きしめた逢坂くんは、耳元で話を続けた。




「僕は、君を、1人の女の子として好きなんだ。

 君と……お付き合いをしたいと、思ってる」




「え……」




「これで、伝わった、かな……」




その言葉を聞いた途端、みるみる私の体温が上がった。




逢坂くんが、私のことを好き……




それも、1人の、女の子として……




放心状態の私から、ゆっくり離れると、逢坂くんは微笑んだ。




「いきなり、ごめん。

 迷惑だったよね……

 返事はいいから、もう、戻ろうか……」




「え……」




そう言うと、逢坂くんは歩き出してしまった。




違う、迷惑なんかじゃない。




私だって、あなたと同じ想いなのに……!




だけど、勇気の無い私は彼の腕を引っ張って、引き止める事ができなかった……




< 102 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop