春、さくら、君を想うナミダ。[完]
レストランをあとにして、
あたしたちは浴衣姿のまま館内でゆっくりと時間を過ごした。
庭園を望む曲がり廊下を、手をつないで歩く。
「さくら」
「ん?」
「大人になったら、今度は日帰りじゃなくて泊まりで来ような」
あたしたちはこれからも、ずっと。
大人になっても一緒だって。
そうあたりまえのように言ってくれた彼の何気ない言葉に、
胸があたたかくなる。
「うん」
笑顔でうなずいたあたしを見て、
彼は繋いでいた手をぎゅっと強くにぎりしめた。