メガネ男子と同居中
「おはようございます。水谷さん」
俯き加減で私にそう挨拶をしたのは、何度か見たことあるメガネを外した黒瀬 葵だった。
でも、髪は少し切られていて、顔がよく見えるようになっていた。
昔の写真の黒瀬だ。
隣のクラスの女子までもが教室にやってきて黒瀬を見に来ている。
「黒瀬…」
ピンポンパンポーン
『おはようございます。生徒の皆さんは体育館に集まってください。始業式を行います。繰り返しお伝えします…』
校内放送が教室に流れ、みんな黒瀬を気にしながらも、体育館へ足を動かす。
「…く、黒瀬」
みんなの目線がある程度黒瀬から離れた時、もう一度黒瀬に声をかける。
!!!
「…水谷さんのおかげで、もう一度、信じてみようと思いました」
黒瀬は私の耳元に顔を近づけてそう言うと、私の肩をポンと軽く叩いて、教室を出て行った。
そんな仕草にまたドキッと心臓を鳴らしてしまう。
私のおかげって……なんなのよ。。。