メガネ男子と同居中

「ちょ、黒瀬!あんた自分が何やってるか分かってんの?!」


私は慌てて、黒瀬から離れる。


きっと私の顔は真っ赤だ。

でもそんな顔がちょうど、夕焼けのオレンジ色でわからなくなる。


「…わかってますよ」

黒瀬はそういうと、私のことを道の端に追い込んで、ブロック塀に片手を置いた。


ドキンドキンと心臓が鳴る。


きっと…黒瀬にも聞こえてるって…。


「…水谷さんに…キスしました…」


!!!!


「ふ、ふざけないでよ……」

私は顔を下に向けたままそういう。


「下むいたままじゃ…よく声が聞こえないです。なんて言ったんですか?」


うぅ…。


「だから…ふざけないで…」


「ん?」


どうして黒瀬はこんなにも…。

惚れさせるようなことするのよ。。。



「だから…っっ!!!」


黒瀬の指が私の顎を優しく持ち上げる。


!!!


黒瀬とばっちり目が合ってしまう。


こんな赤くなった顔…。


見られたくないよ…。



「ちゃんと…僕の目を見て…言ってください」


「……っ…ふ、ふざけないで…」

「ふざけてこんなことする人がいますか?」


そういう黒瀬の耳もなんだか少し赤くなってる気がした。


「…黒瀬は…ふざけてやるような人だもん」

「それは心外ですね…」

「…学園祭の時だって、別荘の時だって、黒瀬はいつだって……んっっ!!」


また黒瀬が私の口を塞ぐ。



もう…心臓がもたないよ…。


恥ずかしくて離れたいのに。


まだして触れていてほしいみたいな。


私は黒瀬のブレザーをギュッと握る。



こんなにも。


こんなにも愛おしいなんて。


こんなにも。


彼に愛されたいって思っているなんて。




< 161 / 165 >

この作品をシェア

pagetop