あ、あ、あ愛してる
君のために
絶不調だった。

解熱剤を飲んだのにほとんど効いていない。

倦怠感で座っているのも億劫だった。

拓斗は横浜大会後からずっと不調の俺が心配で、奏汰とマネジャーを連れて、合唱コンクールを観にきたと言った。

実際、いつ倒れてもおかしくない状態なのが自分でもわかる。

それでも花音のためにピアノを弾きたかった。

関東大会進出が退学処分撤回の条件などという、食えない餌を吊されている。

が、学園理事をしている父からは、「ああでもしないと示しが着かんからな。ここだけの話、横浜大会のピアノ伴奏代行で県大会進出できたことで処分はチャラだ。県大会の結果は問わない。形だけのものだ」と言われている。

ホッとしてはいるが、俺の目標は「花音を全国大会に行かせる」ことに変わりはない。

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