あ、あ、あ愛してる
「綿貫和音さん、学校ではたいへん優秀な成績を収められているそうですね。1曲、披露していただけますか」

頭を下げた俺、マネジャー、拓斗、奏汰は女性の声に頭を上げた。

女性が最前列まで駆け寄り、俺にヴァイオリンを差し出す。

明らかに安物とわかるヴァイオリンだ。

俺は笑顔でヴァイオリンを受け取り、「……リリリクエストき、き……」言葉が続かない。

「リクエスト曲はLIBERTEのカナリアを」

会場が騒然となる。

数ヶ月間ヒットチャートの上位ランキング入りしている曲だ。

「カナリア!? はあ? からかうなよ」

奏汰が声を荒げ、女性を睨む。

俺は奏汰を宥め、ヴァイオリンの調弦をする。

「和音……!?」

持ち歌をリクエストされるとは思わなかった。

ヴァイオリンで「カナリア」自分で作詞作曲した歌だが、調弦しながらどう弾くかを考える。
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