あ、あ、あ愛してる
「合唱部のピンチを救ったわけですよね」

『ええ、交換条件を突きつけられましたけど。理事会の温情で退学処分が一時保留になったのは、感謝しなければいけないですね』

「一時保留……有栖川グループ会長がお父上ということですが、たしか聖奏学園の理事をなさっていますよね」

『ええ、有栖川の名と学園の品位評判を下げるなと常々、厳しく言われています。交換条件を出したのは、恐らく父でしょうね』

「交換条件とは?」

『それは話せません。退学処分か否かが掛かっていることですので、公表は控えさせてください』

拓斗も奏汰もマネジャーも「聞いていない」という顔をする。

『「喋れないこと」を隠していた報いだと思っています。すみませんでした』

俺は最敬礼した。

面倒な会見など早く終わらせたかった。
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