真夜中のアリス

「朱鳥くん、今から行くから待っててね。」

何かに誘導されているかのように、ふらふらと足は歩みをやめない。死に場所を探す、その表現がぴったりだった。
通りかかったのは大きく古びた陸橋。何故か車も人気もなく静寂な夜を示唆している。下を覗くと雨の影響で増水した川の水間も無く氾濫しそうな勢いだ。そして流れの速さ。

「…ここでも、いいかな…」

小さく呟いて欄干によじ登り、立ち尽くす。いつまで飛び降りれるように。
顔に当たる風がやけに冷たい。そのくせ、身体は芯から冷えきっているはずなのに、“寒い”という認知はあたしの中から排除されていて何も感じられなかった。

涙はとまらない。
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