真夜中のアリス
声も身体も震える。
肩を抱くように抱えて、沈めるようにテーブルに俯せになる。
幾重にも封をして、記憶の海に沈めたはずの忌まわしい記憶。
この世界で、数々の出来事が起こる度にそれは綻びを見せて、ゆっくりと浮上してきて今それが長い時を越えて溢れかえる。
気づけば、止めどなく涙が溢れていた。
「…あたしがもう少し大人だったら!
ちゃんと話を聞いて受け入れていれば!
飛び出したりなんかしなければ!
感情的にならなかったら!
朱鳥くんは今も生きてた!!
あたしの、あたしのせいで朱鳥くんは……」
ずっと朱鳥くんが彼方の世界に逝ってしまったのは“彼に魅了された女の死神が手招きして招待してしまったから”とそう思う事で逃げ続けていた。